2012年9月24日月曜日

アウトプットの質を高めるのはチームとプロセス

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本を読んだり、セミナーに出席したり、新技術にキャッチアップしたり。
クライアントやエンドユーザーに良い物を届けたいと思うから、アウトプットの質を高めるための鍛錬が欠かせません。

しかしながら、いまやウェブ制作も個人技で仕事を進めることはほとんどないし、個人のスキルだけで最終成果物の質を高めることは難しくなりました。

もちろん、上で述べたような個人としてのアウトプットの質を高めることは大切ですが、最終成果物としてのウェブサイトの質を高めようと思うなら、個人のスキル以上に、チームやプロセスの改善が大切です。

クリエイティブに直結するプロセス

とあるiPadアプリのデザインを見た時の話です。

BtoBの営業マンが営業資料として商品を説明するアプリだったのですが、インターフェイスは営業マン向けに作られたのではなくて、営業マンが説明する先にいる顧客向けに作られていました。

商品を選ぶ。効果から選ぶ、といったナビゲーションが続きます。デザインもやたらポップで時に機能性よりクリエイティブ重視なものに仕上がっていました。

顧客が使うことも想定しているのですか?との質問にも、完全に営業マンが手持ちで使うシチュエーションしか想定していません、という回答。

営業マンの説明する文脈から考えると、新規/既存という顧客のステータスや、ニーズを喚起する/ウォンツを喚起する、といった顧客の状況、などのナビゲーションをたどっていくと、動画を交えたプレゼンテーションが開始され、顧客の状況に鑑みて適切な商品が2,3選択肢として表示される、というようなアプリのほうが即してるような気がします。あまり考えずに例を書きましたけど、少なくとも、適切なインターフェイスは顧客向けに設計したインターフェイスとは別の何かでしょう。

このプロジェクトは第3者的に見ていただけなので、確かなことは言えません。

もしかすると既に社内にある何らかのリソースをiPadに移植しただけだったから、あんなナビゲーションになっていたのかもしれないですし、誰か声の大きな権限を持った人の指示かもしれません。はたまた、営業部署ではなく、広報部など完全に別の部署が担当で、現場を理解していなかったのかもしれません。

しかしながら、営業マンに事前にインタビュー、プロトタイプを見せてあげる、もしくは、営業マンが普段顧客に説明する時に同席させてもらう、などのプロセスを踏まえてアプリ構築すれば避けられたかもしれません。
あるいは、プロジェクトチームに営業マン出身の人が1人入っていたら、違う結論になっていたかもしれません。

チームとプロセスの大切さ

このようにチームにこんな人を加えておく必要がある、もしくはこんなプロセスを設計前に挟んでおく必要がある、といった視点は、計画段階で非常に重要です。

プロセス管理はクリエイティブや最終的なアウトプットの質、全員の納得感の醸成、など様々な側面に影響してくるし、結果的にプロジェクト全体のクオリティはプロセス管理によるところが非常に大きいと感じます。

このプロセス管理がクリエイティブに直結している、という考え方は制作スタッフもプロジェクトマネージャも意識が薄い気がします。クリエイティブに直結するのが制作スタッフのスキルのみ、と考えているのだとしたら双方歩み寄りが必要です。

言うまでもなく、プロジェクト管理ってそういう意味ではすごくクリエイティブな仕事だし、制作に深い理解が必要です。にもかかわらず、プロジェクトマネージャはスキルとしては、リスク監視や体制管理など直接のクリエイティブに影響を及ぼさないことからか、サイト構築プロセスに対する深い理解は求められなかったりします。

そんな中で、良いプロセス設計をしようとするなら、計画段階で構築に関わるメンバーを招集して、プロセス設計ミーティングを持つなり、プロジェクト完了後に、あんなプロセスこんなプロセスが必要だった、という振り返りミーティングを持つなり、クリエイティブ職の協力も得ながら、全員でプロセス設計することが必要です。

jQueryやnode.js、パララックスやミニマルなど、コーディングやデザインに関する手法も大切だけど、もう少しプロセス設計によってデザインが変わる、という大きな視点でのデザインを全員で考えながら仕事できたらな、と思います。

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