2016年11月26日土曜日

上海で仕事して感じる文化理解のこと

上海で仕事をしはじめてもうすぐ1年になります。

中国に来る前は中国でのビジネスは大変だ、管理職は本当に大変だ、といろいろな人からアドバイスをいただきました。確かにこちらで仕事をしていてすごく難しいなぁ、と思うのですが、当初思っていた大変さとは少し質が違ったようにも思います。

その中でも、最も働く前後での違いを感じるポイントとしては、異文化理解のあり方、みたいなことです。

こちらに来る前は文化を理解する、というのは中国人の性質を理解してそれに合わせていく、といったことでした。例えば、中国人と同じローカルフードを食べてみたり、中国人に合わせてやたらと酒を一気してみたり、ローカルの美容院で髪を切って上海人風にしてみたり、といったことです。

確かにこれはこれで重要なことですし、最初に中国人と親しくなるときには必要なステップだと思います。

なのですが、やはり仕事をしていると相手のもっと深い部分を理解することを求められますし、同じチームとしてやっていく時にどんなルールが納得感があるのか、共感できるのか?ということを考えていく時には、また別の視点が必要なように思います。

ある程度文化理解が進んでくると、中国人の振る舞いを見て、「あー中国人だからクオリティ低い成果物あがってくるのは仕方ないな、中国の文化だもんな」という気持ちが湧いてくるようになります。でもそうした文化に対するバイアスがむしろ個人での付き合いをするときには邪魔になってくることもあります。私たちが「あなたは中国人だからそういうことするのよね」と文化の型にはめた解釈をされると、相手も私たちのことを日本の文化圏の人だからそういうことを言うのだ、と文化で捉えてしまうわけです。お互いに文化の型にはめた解釈をはじめると「日本人はそうかもしれないけど、、、」「中国ではこうですから、、、」と話は途端にややこしくなってしまいます。

ところで、これは日本人同士でコミュニケーションするときも共通するところがありますよね。体育会系の人、文化系の人、事務方、営業畑、話をする時にどうしても相手のバックグラウンドで型にはめた解釈をしがちだけど、それだけでは相手を推し量るなんて傲慢だし、相手にも気持ちが伝わって不愉快にさせてしまいます。

だから、相手の個別の事情に合わせた解釈をしていくことのほうが大切、というのは異国同士の交流でも同じ、ということです。

というようなことを考え始めてから、次に出てきた難しいポイントとして、私のほうがいくら文化ではなく個として理解しようと考えていても、相手のほうはそう捉えてくれない、ということです。どこまで言っても私は外国人ですから、相手に「日本人だから○○」ではなくて個として自分を捉えてもらえるようにするには時間がかかる。ですしこんなことをうじうじ考えてる時点で私は日本人だし、どれだけローカルに合わせた仕事をしていても、中国人から見れば、めちゃめちゃジャパニーズウェイで仕事をしている、ということです。

まだまだ、深いレベルで信頼できるようになるには時間がかかりそうだな、と思いながら毎日自分の振る舞いを反省して仕事に打ち込むばかりです。