2013年2月4日月曜日

Webプロデューサーの営業的意義

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Webサイトの仕事をしていて、ものすごく漠としたお仕事の依頼を頂くことがあります。

  • 前回リニューアルの減価償却も完了したので来期は何か施策を打ちたいのだけど何がうちの課題なんでしょうか?
  • サイト群が各自のルールでサイトを作っており、何らかの最低限のルールを決めたいのだけど何から手を付けたらいいんでしょう?
  • 予算を消化するために3ヶ月で出来ることってありますか?そしてそれは本質的な課題解決になってると嬉しいのですが
みたいなことです。

こんな漠とした状態でご相談を頂けることが有難い、と思う反面、制作者からは、「何も決まってない」といった声もあがります。

決まってないことは確かに不幸なことです。このあとのRFPを受けた各ベンダーの提案もバラバラになり、ベンダーは納得感のある軸では選定できないでしょう。金額のROIも示せないから投資の決済が下りない、ということもあるかもしれません。
※過去記事:提案するWebエージェンシーと発注者のミスマッチ

しかしながら、本エントリーの主張はそういう漠とした依頼の悪さを声高に叫ぶわけでも、原因を追求するわけでもなくて、それが当たり前だからそんな時こそどうすればよいか考えようよ、ということです。

クライアントの立場にたって考えてみると、何も決まってないのはむしろ当たり前だと言えます。理由は以下のような感じでしょうか。

  • 担当者はWebだけのことを考える人ではない
  • リニューアルなんてやったことないのでどんな承認プロセスを踏まえるべきか認識できていない
  • ここ数年のうちに規模が急激に大きくなっており、ステークホルダーが増えている
  • 幅広い調整が必要な割に担当者に決裁権限がついてきてない

Webの進化の過程の中で、ある程度、部分最適として出来るところはやり尽くした感があります。
何らかの製品のプロモーションサイトならともかく、日本を代表するような大規模企業のコーポレートサイトリニューアルとかってなると、過去に部分最適化したものを、全体最適するために、会社の意見を代表するWebサイト制作が求められます。時には専門外のインフラに関して数年単位で費用対効果を睨んだ意思決定が必要なこともあるでしょう。
そうすると、権限や知識がない人が担当として内部の会議体を通しながら承認を得ていかなければならないケースが多く、はじめてのことに耐えられるだけの思考力や柔軟性が求められるのです。

そんな文脈の中で一担当者が色んなこと決めておくってのも無理な話かなと思います。

例えば、冒頭でお話した来期の施策検討といったシーンでは、施策の具体策やマイルストーン整理、体制構築、予算化、といったところまで完了した上で、RFPを出すならそれは制作者もクライアントもハッピーでしょうけど、上記出来る人ってすごく限られています。Webが彼らの主戦場じゃない場合にはなおさらです。


転じて、そう考えていくとクライアントが内部で決定に向けて調整しなければいけないこともWebエージェンシーが把握して然るべきという気がします。
クライアントの稟議のフローだったり、現地法人と本国の予算按分の考え方だったり、意思決定するプロセスと必要になるだろう判断材料のリストアップだったり。

別の業界を見ていくと優秀なBtoB営業は上記のようなことを取り仕切っていたりします。
もちろんWebは単一製品ではないので、フレームワーク化しにくい、という側面もあると思いますが、特にWebプロデューサーの営業的な観点で見てくと、そこまで出来てWebプロデューサーの意義って出てくるんじゃないかな、と思います。

逆にWebエージェンシーからすると、どのようにこんなスキルを身につけていくか、といったハードルはあります。だからこそ、漠とした依頼が来た時は一度クライアントに押し戻すだけじゃなくて、時には踏み入って一緒に解決してみる、といった取り組みをもっとすべきだと思うのです。
本当にそれだけの入り方をすべきなのか、というマネジメントの営業判断はあるかもしれませんが、プレイヤーとしてはそんなスタンスで仕事にあたりたいし、スキルを付ける早道として積極的に実施すべきではないでしょうか。

※Webプロデューサーに必要なPMスキルやコスト管理スキル、Webコンサルティングのスキル、といった観点は長くなるので別途書いてみたいと思います。

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