2012年1月16日月曜日

クライアントに「とりあえず作ってみて。みてみないとわからないから」と言われた時のディレクターの返し方(キャベツダイアリーの場合)

02:21 mins - この記事を読むのにかかる時間

先日、以下のような記事を読みました。

クライアントに「とりあえず作ってみて。みてみないとわからないから」と言われた時のディレクターの返し方|Webディレクターズマニュアル

クライアントに「とりあえず作ってみて。みてみないとわからないから」って言われた時なんて切り返せばよいか、というお話ですね。「とりあえず家作ってみて、住んでみないとわからないから」といってるのと全く同じ次元という発案者の課題意識には全く同感です。

でも、上のブログにある「できますよ。でもお金かかりますよ?」「そしてそれは安くはないですよ?」の切り返しは、ちょっと粗い感じがします。
実際にこういうこと言うディレクターめちゃめちゃ多いし、わからなくはないですけど、もっと出来ることはあると感じます。

では、どんな切り返しが良いのかな、という点を自分なりに整理してみました。

まずすべきはプロセスプランニング

きっとこの記事を書かれた人も言わずもがなだと思うのですが、こうしたお話になる場合、プロセスに関する合意が出来ていないケースが非常に多いと思います。

デザインカンプを作る前に、コンセプトやターゲット、制作背景、他サイトから見た位置づけ、数値、などなど整理することが沢山あります。このうち、どれとどれを整理した後に、デザイン作りに入りましょうよ、という合意ですね。

小規模なプロジェクトならメールベースでも構わないので、こうやって決めましょうね、というプロセスは定義として残しておきたいとこです。

最近仕事をしていて良いなぁ、と感じたのは、実際にサイトを作る対象を一緒に回ってそのこだわりなどをクライアントからヒアリングさせてもらう、というもの。ムードボード作ってみたりとか、クライアントの好きなサイトを教えてもらったりとか、色々なデザインの前段階で摺合せする手段はあるけれど、一緒に回ることで、対象物に隠れた小さなこだわりやあしらいが見えてきたり、好みがわかったりと、有意義なものになりました。制作者側も対象物の理解が深まりますしね。

それでもクライアントは見てみないとわからない

合意プロセスに関する合意を取り付けようというお話を書きました。

しかしながら、ウェブはオーダーメイドの制作物なので、どんなものが出来上がるかは受注者側にもわからないし、クライアントはもっとわからないわけです。

なので、そうは言っても、見てみないとわからないからまずは作ってみないと、ということも一方で正しいといえます。

そこで、デザインを作る、という工程をもっとブレイクダウンして、随時確認をとって意識合わせをしていく、というのも時には有効な手段かなと思います。

ワイヤーに沿ってレイアウトして、版面率と色、フォントだけがわかるものを何種類も用意した時点で、クライアントに見せてみたり。
少し関係値が良いクライアントなら、PC持って行って、横でPSDのレイヤー差し替えながらイメージ合わせるのも効果的かもしれません。

切り返し例

つまり自分ならこんな感じで切り返すかもしれません。

「すぐにデザインを作ってみることもできなくはないですがあまりオススメしません」
「デザインに突然入ると精度も下がるし、出し直しでスケジュール食うので得策でないのかな、と」
「まずはどんなふうにデザインを創り上げていくか一緒に考えませんか?草案はこんなプロセスです。」
「とはいえ、見てみないとわからないということも十分承知しているので、作っていく工程では多少もどかしく感じさせる部分もありますが、確認を何度か重ねながら最終的なデザインに落とすようにしますね。お時間取らせますがご協力頂けますか?」

まとめ

ここまで整理したことと矛盾するようですが、とはいってもこの手の話ってケースバイケースだな、と感じます。冒頭のブログのような切り返しだって、制作に理解がある人だったら良いかもしれないし、代わりに数値にコミットしてくれるなら好きにしていいよ、と言うクライアントもいらっしゃるかもしれません。

というわけで、個人的にスタンダードな進め方は上で書いたとおりですが、このあたりクライアントとの関係値やキャラクター、意図を汲み取りながら、進め方を柔軟に切り替えてあげることがディレクターに求められることなのだろうな、と感じます。

この記事と関連する記事:
考えるのは誰の仕事?デザインコントロールの話
ウェブディレクターって何をする職業なんだろう。考えてみた。
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