2010年10月26日火曜日

グルーポン系サービスの今後のこと。考えてみた。

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最近すっかりグルーポン系サービスがやたらバブル。
ついには「船橋」という狭い地域限定のものや、オタク向け、キャバクラや風俗系のものも出てる模様。すごいすごい。

ユーザー目線やビジネスの参入障壁で言うと、やたら乱立するのもよくわかるんだけど、これっていったいどういうことなのかな?今後どうなるのかな?というのを自分なりに整理してみました。


そもそもグルーポン/フラッシュマーケティングとは?

そもそもグルーポン系のサービスってなんだ?って話。

・ユーザー目線でどんなサービス?
時には90%を超えちゃうような破格の割引率で、サービスや商品のクーポンを購入できる。
予め定められた人数を超える人がそのクーポンを購入しようとした段階でクーポン成立。サービス/商品をクーポン価格で利用できる。割引率の高いクーポンをギャザリングで買ってる感じ。
主にtwitterやfacebookなどのSNSを通じてバイラルで広まる。

・提供者目線でどんなサービス?
このクーポンの売上をクーポン提供会社と商品/サービス提供会社でレベニューシェア。クーポン会社はウマー。もちろんかなりの割引率で展開するので商品/サービスの提供会社に関してはこれだけで見るといくらかの操業率アップは確保できるとしても赤字かよくてとんとん、というレベルの収益。

一時的にお客さんをたくさん集めて、期間限定で売り切ってしまうことから、フラッシュマーケティングと呼ぶそうです。

そもそもの狙いは?

世の中にあるサービスが何か社会全体によい影響を与えるものなのと同様、グルーポンにもそんな大義はあります。それは、知られていないだけの良質なサービスを掘り起こす、ということだそうです。

たとえば、今週の東洋経済でグルーポンのアンドリュー・ヘイソンCEOはこんな事例を紹介しています。

225ドルのレッスンを75ドルで体験できるクーポンに1日2,500件の応募。1985年の創業以来、累計5,000人の顧客しかいなかった万年赤字のボストンのヘリコプター観光会社は一気に黒字化。

グルーポンが目指しているのはシティガイドのようなもので、自分の地域にあるいい店、知られていない店を紹介し、実際に足を運ぶきっかけを提供する。ディスカウントはそのツールに過ぎないのだそうです。

また、グルーポンのクーポンを利用した客の97%は「その店をもう一度利用したい」と答えるとのこと。

短期的に起こるだろう問題

記事を読んで感じたのは97%の人がもう一度利用したい、と答えるのはディスカウント率による効果から満足度が一時的に高まってるだけで、そのほとんどは実際に利用しないだろうと感じました。

これはよく言われることだけど、バーゲンハンターのいいカモだなと。
特に飲食など、他で代替可能なサービスでクーポンを発行したとしても、その後のリピートは見込めないと思うのです。

逆に効果をあげるとすると、例にあがったヘリコプターのように他で代替が難しい商品/サービスなのだろうと思います。

今後、ブームが一巡して淘汰が進む時ポイントになるのは、リピートにつなげられるか、という点になってくると思うので、こうしたサービスをより掘り起こせたり、サービスの志向性がよりマニアックで新たなユーザー体験を産めるようなジャンルで展開していることが重要なのではないかと思います。

今後のことを占うにあたって、ホットペッパーってどうなったっけ?

同じようにホットペッパーってフリーペーパーとしてクーポンを展開して、多くの消費者を惹きつけました。ビジネスとしてのうまみがあることも一緒なので、ぼくは個人的に流行の仕方や短期的に起こるだろう問題、すごく似てくるんじゃないかな?と感じました。

振り返ってみるとこんな感じで時系列に整理できるような気がします。
※ソース追って裏取りたかったんだけど見つからなかったので体感でわかる範囲で。

1、導入期
ヘアサロン/グルメを中心に流行しだす。

2、成長期
都市部から徐々に地方まで各地でホットペッパーを展開。発行部数を大きく伸ばす

3、成熟期 ←いまここ
クーポン自体の効果が薄れてくる。フリーペーパー自体が棚にたくさん残っている。ただ、飲み会のお店を選定するときに紙媒体で言うとやっぱりトップの媒体。リクルートの主力事業。

4、衰退期
これから。

この過程で、いろんな弊害があったと思うのだけど、個人的に弊害だったなと感じたのが、2番の成長段階でローカルの地域情報誌を食ってしまったことだったかなと思います。何しろ無料のモデルなので、雑誌そのものを売って生計を立てていたローカル情報誌は一気に勢いを失いました。
「るるぶ」なんかは今も生きてますがこれはただの広告。本当においしいものをおすすめしているわけではなくて、純粋にお金を出したお店が紹介されているわけ。ホットペッパーももちろん広告。
おいしいものを選り分ける仕組みはインターネットに徐々に移行していけばよいと思うし最終的にそうなっていくと思うけど、ローカルな情報はそもそもお店/消費者ともに母集団が少なく現状だとインターネット上の情報もそこまで充実していない。なので、地域情報誌がなくなってしまったことで本当においしいものを見つける仕組みは乏しくなりました。

ここは今後のインターネットサービスに期待なのだけど、単純にそれが良い悪いではなくて、既存の業界を食ってしまう、というのは今後起こってくるんじゃないかなと感じました。特に成長期に規模が無視できないレベルになってくるので、ここで何かしらの他業界を食うようなことが起きてくるだろうと考えました。

グルーポン系サービスでライフサイクルを考えてみる

今はグルーポン系サービスはものすごく速いスピードで成長期に移行していると思います。つまり上で上げたようなことが起き始めるとすると今なんじゃないかなと思います。

グルーポン系サービスのライフサイクルを考えてみるとこんな感じかな?と。

1、導入期
すぐれたビジネスモデルでアメリカで成功したこともわかっていたので、日本に上陸するや否やあっという間に導入期を抜ける。すぐに大手の参入が相次ぐ

2、成長期 ←いまここ
ものすごい勢いでジャンルに絞ったサービスや地域を絞ったサービスに波及。

3、成熟期 ←推測
クーポンでの集客効果が薄く、リピートも稼げないような中小のクーポン会社は、利益そのものよりも広告主がつかずに淘汰。乱立も一巡し、各ジャンルにつきいくつかのサービスに落ち着く。

4、衰退期

つまり3の同業種内での淘汰が進む、という段階がよく議論にあがるんだけどその前に成長期でこっそりいくつかの業界を小さくしてるんじゃないかな?と思うのです。

具体的には、上であげたホットペッパーのような既存のクーポンに関しては割引率も高いフラッシュマーケティングのほうが利用者からも提供者からもニーズが高まるので、段々と衰退していくんじゃないかなと思います。

それと個人的にここが疲弊しているのではと思ってるのは実は飲食業界とかエステなど美容業界。つまりクーポンの競合ではなくて広告主です。
何しろ代替可能なサービスを一時的な集客のためにこういうクーポン発行してるわけですから。マッサージ1万円を2000円とかって1回使ったら絶対いかないっしょ。そもそもパイが大きすぎて目に見えてないけど今後広告主としては減っていくんじゃないかなと感じてます。

そして3の成熟期にはこのしわ寄せがやってきてクーポン会社が立ち行かなくなる、と。

結論は一般論と大して変わらないんだけどブレイクダウンするとそんなことなんじゃないかなと感じました。

関連書籍:

週刊 東洋経済 2010年 10/9号 [雑誌]

東洋経済新報社 (2010-10-04)
おすすめ度の平均: 5.0
5 SNS三国志と各々の考え方

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