2010年8月22日日曜日

WEB制作会社の今後のビジネスモデルや収益構造について思ったこと

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上場しているWEB制作会社に勤務していると、当然増収増益を目指し続ける必要があると思います。しかし、これけっこう厳しいんじゃないかなと最近思っています。本当は、収益が上がった分は利益として会社に留保せず、人件費に還元していかないと給与も上がらないし、業界自体の地位もどんどん下がってくると思うからです。

アニメ業界で起こっているアニメーターの賃金と業界地位が低いのと同じようなことが起こってしまうのではないかと思うわけです。

現状のWEB制作会社の収益構造

現状の収益構造というのは以下のようなことがスタンダードだろうと思います。

収益 = 受託金額 - 人件費

それぞれどのようにすれば収益が上がるのか考えてみました。

・受託金額
オーダーメイドが基本なため、薄利多売に移行することは難しい。
このため上流化を進めてコンサル費やマーケティング調査費などの点で1つ1つの案件でARPU(客単価)を稼ぐ。

・人件費
ツールやASP、開発をかけるなど、効率化を進めてコスト削減。

WEB制作会社の収益構造の問題点

そんな中で、仕事をしていて思うのは受託金額に関して目指すところはわかりやすいと思うのだけど、コンサル費用がどれだけの価値をもたらすのか、という点に関して受託前にコミットできるケースが少なく、景況感も手伝って安い制作会社に流れるケースが圧倒的だと感じているのです。

とすると一番やりやすくてわかりやすい企業努力としては
・効率化を進めて価格競争に勝てるような体制を整える
・人件費は削減の方向

といった展開になってくると思うのです。
中の人にしてみたら働けど働けど賃金は下がるばかりになっていくのではないかなと。

だから冒頭でお話したように薄利多売できないオーダーメイドの制作会社は上場するのではなく、売上があがった分を人件費に還元するなどしていかないと賃金はあがっていかないのでは?しかも還元しにくい構造になっているのでは?といったお話につながったのです。

新しいビジネスモデル

そこで、ぼくらみたいな制作会社がが生き残れる方策を考えてみました。

A案:メディアを作る
B案:課金コンテンツでのレベニューシェアモデル
C案:このまま受託で進めるが、リスクを追った成果報酬型で契約

といったことが考えつきました。

A案:
現在のWEB勝ち組のビジネスモデル。CyberAgent的な展開。

B案:
i-modeでドワンゴやMTIが成功しているモデル。今後はiphone/androidなど別のプラットフォームでの展開に移行していく。

C案:
リスクが高い。契約の進め方に関してかなり詰めていく必要がありそう。

こうして書き出してみると、A案/B案のようなモデルというのは制作会社でも参入できますが、制作会社としての本業で売上をあげていくことではないように思うのです。つまり、違うビジネスモデルで制作会社が参入できる業種に軸足を移していく、もしくは、C案の成果主義モデルに移行していくことというようなことしか手段ってないんじゃないかなと思うのです。

成果主義モデルの制作会社

制作会社からすると、成果主義モデルであれば契約次第で成果をあげたら大きな利益率を確保することが可能です。しかし、クライアントサイドからしても、すでに作ることを求めているのではなくて成果を求めているのであって、成果主義モデルへの移行というのは大きな流れとして市場からも求められているように感じています。

実現した頃には、こんなことが起こるんじゃないでしょうか。

・WEBに関わる各職種が人気商売になり、格差が拡大する。
・制作会社のクライアントへのコミット感はより強くなる。
・上流制作会社はリスクを取って案件ごとの利益ばらつきが増す。
・制作しかできない会社は相変わらず低賃金競争が続く。

つまりプロジェクトの構図として上流の制作会社がよりクライアントによったビジネスモデルに変わるということだと思います。今まで以上に業界に特化した深いクライアント理解が必要になるので、各職種にまでより成果に向いた成果物制作を意識するようになるんじゃないかなと。

これって本来あるべき姿により近いんじゃないかと思うのです。このような形でリスクをとってはじめて、高い給与をもらうことも可能だし、業界地位を高める、という冒頭の解になるんじゃないかなと思うからです。

2010/08/24 追記
受託開発に未来はない?
開発に関して同じように受託の道がない?というエントリーを見つけたので。

2011/02/25 追記
成果報酬でお金をもらうことについて、ECなどだと可能性あるかな、と思ったのですがブランディングやコーポレートなどだと現実的じゃないのかな、と考えていました。別の切り口で考えてみたのが次の記事なので、よかったら読んでください。
顧客がお金を払う理由。WEB制作会社の今後のことを考えてみた。
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