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その中であった印象的だったのがこんな趣旨のお話です。
視聴率至上主義についてネガティブな意見が多いけど、そんなにネガティブに扱われるべきことではない。
プロデューサーが視聴率を取りたい、と考えているとき、一般の人が考えているよりもたくさんの複雑な思いが詰まっている。みんなが番組を見ておもしろがってくれているということは、番組を作っているスタッフたちの努力が評価されている、ということを意味するし、出資しているスポンサーにも喜んでもらうことができる。予算も取りやすくなってもっと面白い番組が作れるようになる。
テレビ番組の制作に関わる全てのことが良い方向に回る。
この話を伺った時に感じたのは、テレビで言う視聴率にあたるようなものってウェブ制作だと何になるんだろう、ってことです。
テレビの視聴率とウェブサイトのKPIの微妙な違い
おそらく、テレビの視聴率にあたるものは、ウェブサイトが設定するKPI(※1)になると思うのですが、ちょっとニュアンスが違うようなところもあります。具体的には以下のような点が考えられそうです。
◆ウェブは設定する指標を自分で設定する
ウェブのKPIは設定するのが情報の発信主体側です。ウェブは沢山の数値を取得することが出来るので、その中からパフォーマンスを表していると解釈できる1つの指標を設定するわけです。一方で、テレビの視聴率はデバイスの特性上1つに集約することが妥当と考えられている、第3者が設定している指標です。
◆競合が同じ指標を掲げているわけではない。
ウェブの指標は様々に存在するので、設定するKPIを競合他社が設定するとは限りません。
◆社会も含めてKPIを把握している
テレビの視聴率は広く一般の人が知ることができます。一方でウェブのKPIは解析ツールのアカウントを持った人間しか知ることができません。
こう整理していくとわかるのですが、どうやらテレビの視聴率って大勢の人が見ているリレーだか裁判みたいなもんなんですよね。沢山の人が見てるし、優劣が付くから、すごくモチベーションが上がる。
一方で、ウェブで設定するKPIをあげるためのPDCAって、マラソンの自分で設定した自己ベストを更新するために練習をし続けているようなもんで、達成したら嬉しいけど、制作スタッフのモチベーションを上げ続けるのは難しい、と解釈できそうです。
テレビの視聴率にあたるウェブサイトでのKPI
さて、これを踏まえて、ウェブで言うテレビの視聴率に当たるKPIとは・・・?これは何らかのアワードなんじゃないかな、と最近感じるようになりました。
多くの人が見ていて、同じ条件下での優劣がきちんと決まる。
ディレクターをやってた頃はアワードなんて目的にするのは本末転倒だし、もらうことでPVが増えるわけでもCVRが増えるわけでもないでしょ、と思っていました。
が、プロデューサー職をやるようになってから、みんながモチベーションを上げて、良いものを作れる環境を整備する要素としてはとても重要だと考えるようになりました。その方が言うように、制作スタッフも、スポンサーとなるクライアントも、会社内で良いスタッフをアサインできるための呼び水としても、制作に関わるすべてのことが良い方に回るんじゃないかな、と思います。
もちろん、それが最終目的になってはいけないというのは変わってないですが、ある程度アワードに応じて傾向と対策はあるし、フォーカスしないと取れない面もあります。
というわけで、可能性のあるプロジェクトに関しては狙っていくのもアリなのかな、というふうに思っています。
それで一緒にお仕事しているディレクターが評価されたり、クライアントが出世したりすると、嬉しいですもんね。
※1:KPI
key performance indicator
「重要業績指標」 業務の達成度を定量的に把握するための指標のこと。
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