2015年1月13日火曜日

機能の優先順位を付ける "Red routes" という概念

01:23 mins - この記事を読むのにかかる時間

とあるイギリスのユーザビリティコンサルの会社(USERFOCUS)が機能の優先順位をつける考え方として "Red Routes" という概念を掲げています。
とても大事なことの割に日本語でうまいラベリングがなくて語られにくいので、こういう名前がつくのは重要だな、と感じてまして紹介記事を書くことにしました。

Red Routesの元々の意味は、ロンドンの主要な道でふちに赤い線が引かれているもの。この道では止まってはいけなくて、荷物の積み下ろしや人の乗り降りもNGなのだそうです。

転じてWEBのユーザビリティの観点では、めちゃくちゃよく使われる重要なルートやタスクに力を入れてサービスは構築されるべき、という意味で使われます。実際のRed routesはバスの通行を10%早め、27%確実性が増す、と言われており、ソフトウェア全般でもこのRed routesの考え方を起用することでユーザーにとってスピードと効率性が高いサービスを構築出来る、というのが発案者の主張です。

例えば、
  • 来期の予算をつけるにあたって機能の優先順位をどう決めよう?
  • 新サービスを市場評価する時にMVP(※1)に何の機能をもたせよう?
  • ユーザーテストをする時にどれを優先しよう?
といった時に重要な考え方だと言えそうです。

Red Routesの決め方

また、発案者はRed routesを明確化するための方法論にも触れています。
彼によれば以下の2つの質問を整理していくことで回答が得られる、としています。
  • 何人のユーザーがこの機能を必要としているか?
  • ユーザーはどの程度の頻度でこの機能を必要とするか?

例えば、カーナビシステムに対するRed routesを上記2点をそれぞれX軸Y軸にとって以下の様なマトリックスで整理出来ます。

引用元:How red routes can help you take charge of your product backlog


もちろん、Red Routesの概念だけで優先順位がつくか、というとそういうわけではないですよね。
実際には、その機能を構築するのにかかるコストとの見合いもあるし、収益に結びつきやすいのか?という考え方もありますから。

なのですけど、ユーザビリティという側面で切りだすとこうした整理は有用です。

ちなみに、おんなじようなことを言ってる会社は他にもあって、アメリカのNeo Insightという会社が提唱する"Top Task Management" も内容的には同じことを言っている。ただ、少しRed routesを導き出すフレームワークがUSEFOCUSのほうがきちっとまとまってる印象だったのでこちらで紹介した次第です。よかったらそちらも参照してみてくださいね。

※1:MVP
minimum viable productの略。検証に必要最低限の機能だけで作った製品のこと。リーンスタートアップの考え方では企画書をたくさん書くよりMVPをまずは作ってみて、顧客の評価を見て少しずつ製品の方向性を変えていくほうが成功確率があがるはずだ、と言われている。

関連サイト:
Neo Insight(英語)
イギリスの道路:Red Routesのwiki (英語)
USERFOCUSのRed Routesの記事(英語)

関連書籍;


---
「いいね!」を押すとあなたのfacebookにキャベツダイアリーの更新情報が届きます。よかったら。