2010年9月4日土曜日

ユーザビリティ高めるっていいことばかりなのかな?考えてみた

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タイトルの通りなのだけど、ユーザビリティ高めるってほんとにいいことばっかりなのかな?とふと思いました。

ユーザビリティを高めるというのは、ユーザーが操作しやすくってわかりやすい設計にしていくことだと思います。普通に考えると、ユーザーからすれば使いやすいのが良いに決まってるし、サービスを提供する側だって、操作しやすい画面でユーザーがブランドに興味を持ってくれたり、商品を買ってくれたら嬉しいです。

良いことばっかりだと思うのです。世間がユーザビリティ至上主義なのもよくわかります。だから、ビジネスの世界では追求していったほうが良いと思います。

でも資本主義が成功してるけどたくさん問題を抱えているのと一緒で、一方で、何か別のところで問題が出てきててもおかしくないんじゃないかな?と思いました。

ユーザビリティの定義

そういえば、そもそも、ユーザビリティって何なんだろう、と思いました。その道の権威が定義すると以下のようなことになるそうです。

  1. 学習しやすさ: システムは、ユーザがそれを使ってすぐ作業を始められるよう、簡単に学習できるようにしなければならない。
  2. 効率性: システムは、一度ユーザがそれについて学習すれば、後は高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすべきである。
  3. 記憶しやすさ: システムは、不定期利用のユーザがしばらく使わなくても、再び使うときに覚え直さないで使えるよう、覚えやすくしなければならない。
  4. エラー: システムはエラー発生率を低くし、ユーザがシステム使用中にエラーを起こしにくく、もしエラーが発生しても簡単に回復できるようにしなければならない。また、致命的なエラーが起こってはいけない。
  5. 主観的満足度: システムは、ユーザが個人的に満足できるよう、また好きになるよう楽しく利用できるようにしなければならない。

wikipedia


直感的に読んでいて思ったのは、王様みたい、ってことです。ユーザが迷わなくて済むように、考えなくて済むように、設計してあげてるわけです。

そうするとユーザビリティを高める傾向は今後も加速するんじゃないかな、と感じました。

なぜなら、
・日本は人工減少に入っていて、より消費者至上主義になる。
・IT化が進むほど1サービスあたりの顧客が増えるので迷われると困る。
といった要因があると思うからです。

考えさせないことの問題

ちょっとお話が変わるのだけど、少し前に宮崎駿と養老孟司の対談を読みました。その中で宮崎駿が、こんなことを言ってました。
「何でもかんでもバリアフリーにすると老化を早めるだけだ。(理想の街を設計するなら)感覚を呼び覚ませるようにうねりのある地面にしたい」

同じようなことはWEBサイトとかリアルの製品でも言えるんじゃないかなと思うんです。

人間は自然の中で生きることを前提に作られた生き物だから、人工物にばかり囲まれると体が弱るのと同じで、頭を使わないでいるとどんどん考えなくなるな、と。

いつの世の中だってそうだけど、考える人は一生懸命考えるけど、考えない人はとことん考えません。これまでは考えない人だって説明書読んでみないとわかんなかったところが、説明書読まなくても直感的にわかることで、クリエイター視点で裏側の仕組みを理解する機会が減るんじゃないかなと考えました。

別にそんなに問題じゃないじゃん、という気もするし、消費者としては確かにそれでいい気もするけど、生産者の立場で考えるとやはり良くない気がするのです。

3歳の子どももiPadを使ってるとかって話を聞くと、デジタルネイティブの世代は相当ITを使いこなせるんだろう、とは思います。でも、一方で裏側の仕組みを理解していない、ただのユーザー視点の人が増えてくるんじゃないかな、というのがぼくの見解です。

そうすると、新しいサービスとか生まれにくくならないかな、という懸念も出てきます。

これを踏まえてどうユーザビリティを考えたほうがいいのか

ユーザビリティを高める欠点に関して書いて見たけど、じゃ結局どうすればいいんだろう、ということです。

個人的に思ったのは、結局、ユーザビリティは高めたほうが良いかなということです。

これだけユーザビリティが高いコンテンツやモノがある中で、ユーザビリティが低いものでお金儲けしていくのは難しいと思うからです。利益が出てないと結局誰も幸福にならないので、時代に求められてるものに逆らうことはやはり難しいなぁと思います。

逆に、ユーザー視点を強く持った人が多くなることを逆手にとったサービスが生まれるんじゃないでしょうか。小さい子でもプログラムが作れるということでちょっと話題になってた「プログラミン」なんかもこの傾向なんじゃないかなと感じてて、(※参考)これがもっとリッチで本格的なものが作れるようなサービスとか出てくるんじゃないかなと思うわけです。

まとめ

というわけで、長くなってしまったのでまとめると、こんなことじゃないかなと思います。

・ユーザビリティは基本高めたほうが良いし、高めざるを得ない。
・でもユーザー視点に慣れてクリエイター視点が欠ける懸念がある。
・ユーザー視点でサービス作れるようなサービスはチャンスかも。

個人的にはやっぱり思ったより良いことばっかしな気もするんだけど、せっかくこういう時流なら、ユーザー視点でモノ作りできるようなサービス作ってみたいなと思いました。

参考記事:
ゲームプログラミングもできる、やさしい開発環境「プログラミン」、文部科学省が公開
wikipedia - ユーザビリティ

参考図書:
虫眼とアニ眼 (新潮文庫 み 39-1)
養老 孟司 宮崎 駿
新潮社
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おすすめ度の平均: 4.5
4 面白いけど
4 戦前生まれで広深な経験と知識を持つ二人が語る日本社会の過ちと今後
5 物事を見続ける眼
5 愛すべきイヤな親父です
5 自然に眼を向けられる教育が必要なのだろうと感じた

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