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確かにそれはそれで交渉の一つの進め方だけど、実際にクライアントと長期的な関係を築く中で、とても使えるような考え方ではありません。
でも、ハーバード流交渉学の本を読んだらば思っていた以上に実践的で、上のようなイメージとはずいぶん違ったので紹介したいと思います。
・交渉は落しどころ探しではない。
・日本人は痛み分けをWIN-WINと勘違いしている
など、ちょっと耳の痛いエピソードもあったのですが、書き始めると相当広くなってしまうので、まず、当たり前だけど非常に重要だなと感じたBATNAという概念を紹介させてください。
BATNAとは
BATNA(バトナと読みます)とは「Best Alternative to a Negotiated Agreement」の略です。交渉が決裂した場合の最良の代替案、ということです。
交渉に一番重要なことは何よりも事前準備です。
このBATNAを持たずに交渉に臨むと、相手から提示された価格の妥当性が判断つかないし、引き下がるタイミングもわからなくなります。
例えば、電化製品で値引き交渉するときに、価格.comの最安値とかYAMADA、コジマ、ヨドバシ、ビックカメラといった大手の価格設定に関しては最低限調べた上で、お話しにいくと思います。ここを調べないでいくと「液晶テレビ20万円です」とかって言われても「?」だし、「18万円まで値下げします」、と言われても、それってもっと頑張ったほうが良いのか判断がつかないというわけです。
BATNAを考えることが重要だなと感じたシーン
なんでBATNAを重要視したか、という点から。結局、受託のビジネスをやってると価格競争になります。これは避けられないものだと思います。先日、WEB制作会社の今後のビジネスモデルや収益構造について思ったことでも書いたのだけど、オーダーメイドでやってる限り規模の経済なんて効かないです。そう考えると、収益を上げることには貪欲になる必要があるのですが、反面クライアントからは値引き交渉を受ける宿命だと思います。
こんな時に、次の取引に繋がるかもしれない、といった淡い期待を根拠に、値引きをするようなシーンもあったりすると思います。でもこれって、将来の不確定な要素と、目の前の金額をはかりにかけてるわけなので、随分と割りに合わないバーターをしてることになります。
こういうジレンマは陥りがちな話だと思うのですが、こんな時に考えられる選択肢って実はたくさんあるんだな、と感じました。前置きが長くなりましたが、BATNAを強める、というのも一つの選択肢になりえそうです。
BATNAを強めるという選択肢
BATNAを意識すると、実はBATNAを何も持っていない状態で交渉に臨むことって案外多いんだなと気づきます。受託できなかった場合の代替案がない場合は意地でも受託しなくてはならないので、クライアントの価格交渉にも応じる必要が出てきてしまいます。なので、BATNAになるような小規模な案件を持っておき、この小規模案件の開発規模を大きくして売上を立てるなどして、BATNAを強めておく、というのも本筋の交渉を有利に進めるために重要な要素です。
交渉決裂した時のダメージが少なくなれば強気に出ることもできるわけだからです。
逆に相手がBATNAを持っていないことがわかれば、こちらからの交渉はスムーズだと思います。相手に不利な条件を飲んでほしいときには、相手が持ってるBATNAを強めてあげることで思惑通りに話が落ち着くかもしれません。
交渉するときはいつもBATNAをもって臨みたい
今回受託の話を例に説明してみたのだけど、交渉するときにはいつでも必ずBATNAを意識する必要があると思います。上に書いた家電量販店の例のように判断材料が足りないからです。
きっとこうして、改めて説明されなくたって、交渉慣れしてる方は無意識に準備されてると思いますが、概念として理解することで、意識の持ち方もだいぶかわってくると思います。
自分のもつBATNAと相手のもつBATNAを意識して、予め準備しておくことでスムーズに交渉が進む可能性は高いと思うので、よかったら参考にしてみてください。
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わかりやすい 無駄な話が減らせそう
入門書としてはこれ一冊で十分
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